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「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「国土強靭化 〉もったいない」

2022年9月1日

■政治家とは
先月、我が国の多くの地域において、大雨による水害が発生し、様々な被害をもたらしました。小職に縁のある地域においても、お盆の間大雨が数日間続いたことにより、川の水位が上昇、住宅への被害が心配されました。ちなみに、当地では9年前に、山間部に降り続いた大雨により、町中にある川が数か所において決壊し、市街地は大きな災害に見舞われました。地方鉄道の陸橋は崩れ落ち、その後長期間にわたり、鉄道は運休をせざるを得なくなりました。この地方は、数十年おきに水害が繰り返されていたのです。このことから、下流地域の水害を防ぐため、D川にダムを作る計画があったものの、”もったいない”を標榜した知事により中止に追い込まれ、結果として9年前の大水害が起こってしまったのです。政治とは国民の生命と財産を守ることとすれば、政治を行う”政治家”とはいったい何者なのか、少し考察してみました。

■圧倒的な当事者意識
政治家とは、国会議員や地方議員と同義語ではありません。これが分かりにくいことなのですが、議員であっても政治家でない人はたくさんいらっしゃるからです。議員だけどコメディアンの方や議員だけどエンターティナーの方などもいるのです。私たちはこのような違いを見極めなければなりません。最終的には自分に跳ね返ってくるからです。例えば、”もったいない”知事は、政治家の仕事をしないといけないにも関わらず、民意と称するマスコミや大衆に迎合したために、多くの住民に迷惑をかけました。つまり、職業として知事なり議員なりになっただけで、本当の政治家ではなかったのです。タレントや学者だからダメとか単純なものではありません。前職が何かは関係なく、私は政治家なのだという圧倒的な当事者意識が欠落していただけのような気がします。会社の経営者や幹部も、当たり前ですが、圧倒的な当事者意識は必須条件です。

■先見の明
政治家に誰よりも求められるものとして、先見の明という先を読むスキルがあります。経済状態が悪い時や大きな災害が発生しない時は、コストの削減やムダの廃止を優先したいのは当然だと思います。企業においても売上が上がらない時は経費を削減するのは世の常なのです。しかし、何でもかんでも無駄だと断じ、とにかく経費を削減すればいいということではないと思います。入るを量りて出ずるを制すと言いますが、1円であっても無駄なものは省くべきですし、逆に100万円かかっても必要なものは買うべきです。これを正しく組み立てるのが政治家の仕事であり、腕の見せ所なのです。「そんなつもりはなかった」とか「そんなはずじゃなかった」とか、言い訳はいくらでもできますが、国民のトップという立場が分かっていれば、間違いを認めて修正すべきです。「過ちは改むるに憚ることなかれ」です。なぜ間違いを認めてやり直さないのでしょうか?

■「義を見てせざるは、勇無きなり」
それは、勇気がないからです。人としてなすべきことと知りながら、それを実行しないのは勇気がないからである。とは論語の名言の一つです。圧倒的な当事者意識や先見の明を持っているつもりでも、実践・実行できないとすれば、勇気が足らないからに尽きます。人を説得できないからとも言えるでしょう。トップの意思決定は、様々な立場の方々と利害を調整して行わなければならないですが、自分がやるべきこと、やらなければいけないこととのバランスを取ることが求められます。これこそが政治家の手腕そのものだと思います。利害関係者の反対はあって当然ですが、だからといって何もやらないのはいけません。またマスコミや大衆に先見の明があるのかを見極める勇気も必要条件です。会社の経営者や幹部も同じことでしょう。特定の社員が求めるから実行するというのは、特定個人に過度にコントロールされていると自覚しなければなりません。

■「千万人と雖も我往かん」
熟考してみて自分の考えや行動が正しいと確信したら、敵がたとえ千万人いたとしても恐れずに立ち向かっていこうと孟子が言っています。政治家に最も必要なのはこの心構えなのかもしれません。勇気だけがあってもいけませんが、自らの立ち位置や客観的な役割を正しく理解し、圧倒的な当事者意識と先見の明を持って考えた政策があるのなら、それが受け入れられるようにコントロールしていくのが政治家の手腕です。ちなみに千万人とは比喩ですが、多くの方々に反対されたとしてもやるべきことをやるのが政治家の意気込みなのです。自分の利害だけ考えて立ち向かわない人が政治家であっては困ります。これは住民の切なる願いです。目先のことのみにとらわれ、大衆に迎合し、勇気のかけらもなく、難しい課題に立ち向かうこともなく安易な判断をして住民に迷惑をかけることは政治とは言えません。

■「鎌倉殿の13人」
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も残り少なくなってきましたが、当時、史上初めての武家政権を樹立するという前代未聞のチャレンジの物語だと捉えれば、源頼朝は本当の政治家だと思います。現代人から見れば、多くの政敵を殺害するなど言語道断ですが、時代背景から見ればやむを得ない部分もあるのではないかと思います。その前提として、当然ながら、私利私欲で行ったのではないということがあります。政治家でなければ、身内を殺すなどということはありえません。ただ、政治家、特に国のトップとしては、家族のためだけにあってはならず、多くの民衆のために存在すべきポジジョンですから、政治行為を邪魔するものが身内だったとすれば、その身内を排除するのは当然だと思います。現代でも、会社の中で正しい行いをしない身内を庇うと、多くの一般の社員はやる気を失うことでしょう。そのように想像すれば理解できると思います。

■政治も企業も同じ
今年起こった R 国によるU国への侵略により、国家の防衛がニュースになることが増えたように思いますが、振り返ってみると
2010年代はとても平和な時代だったのでしょう。当時は与党が「国土強靭化」などと言えば、「コンクリートから人へ」と叫んで反対する人たちが、マスコミと利害を一致させ、さほど大問題でもない年金記録ミスのプロパガンダを成功させ、権力を倒したものの、失政により束の間政権となったことは記憶に新しいところです。政治家の評価は、数十年から百年後とか言われますが、その場しのぎで国民をミスリードしたことを二度と繰り返してほしくありません。と政治家に注文をつけつつ、会社においては経営者として、お客様に選び続けていただける会社にするよう、頑張らなければならないとの思いを強く致しました。