「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「乗る > 飲まれる」

2021年2月1日

■ニューノーマル
現下、新型コロナウィルス感染症によるパンデミックが収まる目途も立たず、長期化の様相を呈しております。そして、この渦中にいる我々の不安も鎮まることはありません。それは未知の感染症そのものへの不安とともに、ニューノーマルと言われている大きな変化に対する不安も含まれていると思われます。このコロナ禍が社会や人々の生活やあり方を変える転換期になるとか、変化を加速するなどと言われていますが、それはどのようなものになるのか、影響の及ぶ範囲やレベルはどのようなものなのか、明確に分かっている人はいないものの、過去と現在の現象を参考にしながら対処していく心構えや方法を検討してみたいと思います。
■変化の連続
未来を分かる人はいないと思いますが、未来への道筋を読み解いていくには、過去と現在を丹念に見ていくしか手段はありません。そこで、現在までの過去をおおまかに眺めると、変化が連続していることは明らかだと分かります。子供の頃語呂合わせして必死に覚えた出来事と起こった年代だけは確実に変化が起こっていたといえます。さらに教科書にも出ない変化も含めると無数です。人々が生活するということは変化の連続だと感じます。それらの中でも特にインパクトの大きなものを見てみることで、結構な大変化と言われている現在進行中のニューノーマルの先の姿を予想することのヒントを得たいと思います。
■明治維新
明治維新を点でみると1868年となるのでしょうが、線でみると複雑すぎるほど複雑です。外圧あり、権力闘争あり、技術革新あり、数十年に渡る大きな変化の一つです。世界規模でグローバル化という変化が国内の体制を変えました。それまでの既得権益は新しい権力に奪われたことにより、武家支配階層の多くは没落することになりました。権力転換により世襲の身分制度が崩れるとともに、世界標準の近代化追いつくことを目指して産業構造も変化しました。これにより多くの人々は身分や職業が比較的短期間の内に変わることを求められたのです。特に権力を取られた武家は商売が下手なことを揶揄されるなど、職種転換の難しさを表しています。
■第二次大戦後
松下電器は戦時中、軍隊の要請により松下飛行機という会社で飛行機を製造していたとのことです。そして終戦時は戦犯扱い、財閥にも指定されたそうです。そして松下幸之助翁は納税ができなくなり、まさにどん底にあったようです。しかし翁は五十歳にして再起を決意し、その後の躍進はご承知の通りです。戦争の前後で大変大きな変化が読み取れます。社会の変化も多方面に渡って相当なものだったと想像できます。そして人々の職業にも影響は多大なものがあったことでしょう。1956年の経済白書では「もはや戦後ではない」と記述され、流行語になったのですが、戦後11年後のことですので、やはり変化の影響は長い時間がかかるものだと実感します。
■現在
現在進行中の変化もコロナだけのことではなく、経緯と背景があります。コロナ以前より名だたる大企業が黒字リストラを進めていたことは知られていましたが、コロナ発生後は赤字リストラが増え、この動きは加速しつつ増大しています。これらの大リストラ時代が到来する理由と考えられるのは、経団連会長が発言したように終身雇用制度と年功序列制度が終焉していること、技術革新によりRPAや人工知能活用範囲が拡大していたこと、平均寿命の延びに伴う実質70歳定年制へのシフトの余波、そして直前の増税により長期化する不況等々コロナ前からの要因があります。そこにコロナによる収益モデルの変化が直撃したことなど、複合的かつ長期的な要因になっていると考えられます。
■変化はピンチ
これらの大変化は個人の意思や努力の域を超えたものですが、そのような状況でどう考えるかのヒントとして話題になったのがノーベル賞作家カミュの代表作『ペスト』です。治療法のない疫病に突如襲われ、封鎖されたアルジェリアの都市オラで生きる人々の苦闘と連帯を描いたフィクションとのことですが、いつの時代にも通用する普遍性がある書物と定評があります。不条理な出来事をどう受け容れるのか、とてもしんどい作業です。今回は乗るか、飲まれるかというタイトルにしましたが、変化はピンチだとだけとらえてしまうと悲劇につながります。自殺者が増えるのはその現象です。厳しい状況の中でも飲まれることなく希望を見出すにはどうすべきか、深く考え続けたいと思います。
■変化はチャンス
「陰あれば陽あり、陽あれば陰あり」というように何千年も前から人々はこのように考えようとしていたと推察します。今が悪い状態にあれば、その次は必ず良くなる。逆もまたしかり。でも言うは易し、行うは難しです。人それぞれで様々な状況や考え方がありますが、変化には飲まれるのではなく、自分の意志で変化に乗って超えたいです。東照宮御遺訓には「不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし」との一節があります。多くの先人たちは不安と闘いながら変化をチャンスに転じてきたのです。理不尽な困難が起こることはいつの時代も当たり前。政府・役所・会社のせいにしても解決することにはなりません。