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「解決 > 対決」

2021年11月1日

■『対決より解決』
昨日投開票された総選挙で、国民民主党のスローガンの一つに「私たちは『対決より解決』を選ぶ」とうたわれていました。相手の失言や些細な失敗を見つけては鬼の首を取ったように騒ぎ立てたり、なかったことをなかったのなら証拠を出せと妄想する悪魔の証明を求めて国会を空転させたりする人たちとは一線を画す姿勢に共感を覚えました。そもそも本気で政権など取る気がなく、自分の職業を確保することを最大の目的とする勢力にとっては、思想も政策も違う団体と選挙で議席を確保するだけで野合することなどお構いなしなので、「解決より対決」のほうが、その活動目的に沿うわけですから、玉木さんのような発言は受け容れられるわけはありません。そこで今回は、この対決と解決について考察してみました 。

■2021年の総選挙
対立する者が事の決着をつけることを対決と言うのなら、第三者から見ればこれほど興味深いものはありません。逆に言えば、対立がないと面白くないのです。政治の世界ではわざと対立軸を作って支持や票を集めるという戦法が用いられています。今回の総選挙を見ても、そうしようとしていることが分かります。多くの野党はこの作戦をなりふり構わずやり続けています。麻生副総裁が立憲共産党と発言したとき、すぐさま「麻生さん、政策で勝負しましょうよ」と反応したそうですが、このやりとりの面白さに政治家というよりエンターティナーとして立派だと思いました。そもそも政権を取る気などないのですから、いかに相手を批判して話題になるかが重要な戦術であることが伺えます。総選挙を少し振り返ってみます。

■2009年の総選挙
「あの悪夢のような」と言われる政権が生まれたのは12年前の総選挙でした。この時の空気感は異常だったと記憶しています。リーマンショックなど未曽有の危機状況のなか、当時の麻生首相のちょっとした言い間違い、読み間違いをテレビでは大げさに取り上げるなど、ネガティブキャンペーンが繰り返され、その情報を鵜呑みにした有権者がこぞって投票した結果でした。伏線として年金記録五千万件問題などがあり、政府への不信感が蔓延していたところに追い打ちをかけました。国民は冷静な判断ができず、解決より対決を選んでしまったのです。小職はKコンサルタントがしてくださったマニフェスト解説で、まともな経済政策が一つもないことを事前に知ることができたのですが、無力感だけが残ったことを覚えています。

■2005年の総選挙
自民党がボロ勝ちした郵政選挙も対立構造を利用した政治パフォーマンスだったことが分かります。森政権で信用が地に堕ちた自民党の救世主となった小泉首相は、自身のライフワークである郵政民営化を自身の手でやることを目指していました。しかし党内でも反対派や慎重派がおり、参議院で法案を否決されたことをキッカケにして解散総選挙にうってでました。これ自体問題ありなのですが、反対派との対決姿勢を鮮明にしたうえで、賛成派しか公認しないなど、さらに徹底的にやりました。これが連日テレビで取り上げられ、世論は完全に郵政改革賛成になだれ込んでしまいました。その後、法案は可決しましたが、後の民主党政権では軌道修正されるなど、しばらく紆余曲折が続いてしまいました。

■政治のエンターテイメント性
古今東西、我が国のみならず政治の世界では、対立構造を利用した勢力の維持、拡大は行われ続けています。これにより、有権者は政治に興味を持ち、意見を持ち、表現してきたことは事実です。対決も何もない無風な選挙には興味を抱きにくいのです。現在の世界最大の対立は、アメリカと中国です。昔は、アメリカとソ連でした。国内でも近隣諸国との対立がなくなることはありません。大なり小なり意見の相違がないことなどないでしょうが、テレビや新聞で目にすることはどこまで本当なのかは不明です。でも、政界において、多くの人々の支持や票を得るには、とても絶大なる手段であることは間違いありません。その最大の理由は、当事者でない限り、見ていて面白いからだと思います。政治とはエンターテイメント性が求められるのです。

■解決のための妥協
他者とともに課題を解決することは難しいことです。そもそも思想や理念、方向性や方針、目的や目標など、多くのポイントでは違いがないなどあり得ません。これを乗り越えるには、妥協を是とできるかどうかにあると思いますが、なかなかできません。直近30年で二度の政権交代がありましたが、いずれも短命であり、かつ組織は瓦解しています。一方の自民党は55年体制のままです。この差を読み解くことが組織の発展と継続の鍵になるのです。妥協というと敗北感が漂うように感じますが、本当はそうではないと思います。個人も組織も環境の変化とともに生き続けられるとすれば、環境を受け容れられるかどうかに依ります。これを妥協というのだと思います。今の野党が政権を取ってとしても三度目の瓦解となることは明らかでしょう。

■対立軸の末路
対立構造を演出することを続けるとどうなるのでしょうか。戦後の一定期間、野党第一党の位置を不動のものにしながら、党内での抗争を繰り返し、何度ものチャンスを生かせぬまま、消え去った政党に社会党がありました。本気で政権を取る気などなかったのですが、皮肉にも自民党に担がれ連立政権を樹立したことが終わりの始まりとなってしまいました。何でも反対だけの対立構造では消えてしまうということかもしれません。今のリベラルをかかげる野党にもこのDNAは引き継がれているようです。本気で政権を取るのなら、スキャンダル探しではなく、国の課題を解決できうる対案を出す必要があります。もちろん政治のみならず、会社などあらゆる組織でも同じです。対立を乗り越えた解決を模索し続けなければならないと思います。