fbpx

「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「勇気 > 臆病」

2019年2月1日

■2019年の見通し
大多数の国民が気にしているのは、今年がどんな年になるかということでしょう。個人的なことを別にすると、景気の動向は最大の関心事となります。小宮一慶さんによると、「国内の景気は、じわじわと後退の気配を見せており、トランプ政権が対中圧力をさらに強化することが懸念され、さらに日本経済にも悪影響を与える」と考えておられます。景気循環、米中貿易戦争、消費増税等々の不安材料があり、「現在の景気の状況がいつまでも続くことはあり得ません。これまでの好景気の反動で、業種によっては大きなダメージを被る可能性もあります。経営者は現在の景気を前提にした経営計画を立てるべきではなく、景気後退の衝撃に備えよ。」とアドバイスしています。

■2019年の新成人数
テレビで見たのですが、今年の新成人の人口は125万人で昨年比では2万人の増加とのことでした。しかし今年がピークで、来年以降は減少して行くようです。一方で、昨年生まれた人は94万6千人となり、少子化トレンドはどんどん進んでいるのが現状です。このような状況を背景に、直近の有効求人倍率は1.6倍を超えるなど、空前の人手不足状態となっています。これは、戦後最長という景気拡大が、女性や高齢者の労働参加率が上昇していくことで、労働力人口が増えても追いついていないことが最大の要因と思われます。しかし、労働力人口は2024年には減少に転じると予測されており、中長期的には人手不足が続くことは確実な未来です。

■この先どうなるの?
三橋貴明さんは著書の中で、世界の動向や日本の状況を鑑み、これから先も豊かな国を実現していくには、一人当たりのGDP(企業では粗利)を増やすしかないと断言されています。つまり、生産性の向上が必須であるということです。ちなみに小職の定義では、売上高はお客様ご愛顧の証し、利益額は知恵と工夫の証し、生産性は豊かさの証しです。私たちが豊かであるには、潜在的能力の向上が欠かせません。それは「モノ(資本)、ヒト(人材)、技術」の三つを強化することです。それは「設備投資、公共投資、人材投資、技術投資」をすることで実現できることであり、今後強化すべきと主張されます。実は、国でも企業でもどんな組織でも同じことだと感じました。

■生産性向上投資の必要性
マクロ経済の動向にも、人手不足に対する対策としても、企業が生産性向上のための投資をすることが求められます。しかし、デフレで疲弊した企業が生産性向上の投資に踏み込むのは大変なので、政府が「需要面」「投資面」と二つの面から生産性向上をサポートしなければなりません。安倍首相は一昨年、「生産性革命」「人づくり革命」の推進を掲げました。生産性革命は「新・三本の矢」の1つのカギで、力強い賃金アップと投資を後押しするものです。人づくり革命は一億総活躍社会とするために、質の高い教育を受けやすくして個々の能力を高める取り組みとされています。いずれも「人手不足は生産性向上で解消を」「生産性向上こそが経済成長の道」を目指すものです。

■働き方改革
「働き方改革」とは、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに着手する改革と言われています。これは「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」と位置付けられ、多様な働き方を可能とする社会を目指し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現など、労働制度の大胆な改革を進めるとされ、ともすれば、長時間労働の是正にフォーカスされがちですが、「働き方改革」はあくまで経済政策であり、本来はすべてが生産性の向上が最終目標です。つまり、人口減少が決まっているので、人力によるあらゆる作業を減らすことが本質にありますので、やはり生産性向上投資とセットで語られるべきテーマだと思います。

■道具への投資
三橋さんは農業から生産性向上は始まったと書かれています。私たちが豊かになったのは、食べ物を得るために従事する人が減ったからということと解釈できます。地震などの災害が起こったときに救助や援助があるのは、それらに従事する人たちがいるからに他なりません。太古の昔では自分たちの生活で精一杯でしたから無理な話しでした。産業革命の前からも実は産業の革命は進んでいて、人は自分以外のもの、つまり道具を使って生産量を高めてきた歴史があるわけです。この流れは一度も止まっていません。これからもドンドン進化していくことでしょう。現在は、AIやIoTやデジタル等の分野が有力な道具であり、当面続いていくことが容易に予測できます。

■経営者の勇気
人々は豊かであることを望みますが、その実現に向け、主導的な立場にあるのは国ではなく、企業の経営者たちです。デフレ(供給過剰・需要不足)の状況で投資と言われても、臆病になって守りに入るのは人情です。しかし、空前の人手不足が、道具への投資を後押しすることになりそうです。経営者の仕事は投資だと言っても過言ではありません。投資せずに会社を大きくすることはほぼ不可能です。経営者が考えるべきは、良い仕事をしたければ、仕事道具には絶対に投資するべきということ。そして、思いのほか、人のモチベーションというのは、仕事道具に左右されるものだということ。今まさに経営者の勇気が問われているのかもしれません。