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「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「未知 > 目前」

2021年3月1日

■GAFAM
GAFAM(ガーファム)とはアメリカのIT企業、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft五社の頭文字から成り、世界のIT市場を牽引する企業群の意味で使われます。昨年、このGAFAM5社の時価総額が、東証一部上場企業の全2,170社の時価総額を超えました。我が国一位のトヨタ自動車と比べてどうこうという次元を超えるくらい莫大な価値となっています。もちろん業種の違いはありますが、これだけの価値を産んでいるGAFAMで働く人はどのような人たちなのでしょうか。コロナ禍で史上最大級の経済危機、雇用危機にある現在、今後を展望するにあたり参考にすべく、考察してみたいと思います。
■グーグラー
G社の人事担当副社長だった方が出された本から、G社がほしがる最高の人材について知りました。思ったよりシンプルな印象を持ちましたが、それは「目の前の問題を解けるだけでなく、将来いかなる未知の問題が現れても解決できる人材」だというものです。とてもシンプルですが、見極めるのが難しい人材像です。目前のみならず、将来の問題解決までできることを明示していることが秀逸です。卒業した学校の成績からは予測できないと判断し、学業成績や成績証明書の提出を求めるのをやめたらしいです。このように、試行錯誤を繰り返しながら、採用基準の厳格化と採用活動の集中化で優れた人材確保に成功しているのです。
■問うべき質問
G社が次から次へとサービスを展開している理由、それは優れた人材が集まり適切に機能する組織が作られていることです。その優れた人材に求めるものは何でしょうか。膨大な採用、不採用者のデータを分析し、入社後に成功するかどうかを予測できる属性を決めたそうです。それは、一般認識能力、リーダーシップ、G的であること、職務関連の知識です。G的というのは、G社で成功することですが、面白いとおもったのは、「曖昧さを楽しむ余裕がある」「ある程度の謙虚さがある」「極めて誠実である」というものでした。また、職務関連知識は四つのなかでは一番重要度が低いというのも、変化が激しい業界の特性だと感じました。
■曖昧さを楽しむ余裕
事業がどう進展するかは分からないため、会社の舵取りをするには社内で多くの曖昧さと向き合わなければならないというのがG的であることの一つです。ともすれば、明確なビジョンやプランを持つことが良いように感じますし、曖昧さは良くないイメージを持ちますが、この会社では逆です。実際、決まっている未来というのはあり得ないわけですから、これは真っ当なことです。長年の風習に染まり、自社や自分を変えられない人が圧倒的に多数な世の中において、実は絶対的なものなどなく、曖昧さを持てる柔軟性が優位性を高めることを再認識させられました。仏教の諸行無常に通じる真理のように感じます。
■ある程度の謙虚さ
副社長は「自分が間違っている可能性を認められない人は、これがなかなか身につかない」とコメントされています。現代の世界を席巻するGAFAMにおいても、自分勝手が過ぎる人は敬遠されるのです。人には群れる本性がありますので、人が人である限りチームビルディングの大切さは古今東西変わることはなく、協調性の乏しい人は嫌われるのは間違いありません。場面によっては、謙虚さだけでは顧客や仲間のためにならないこともありますので、謙虚さ100%を求めていないことも言い得て妙だと思います。しかしながら、これまで一緒に仕事をしたことのない応募者の謙虚さを確かめるのは難しいと思いますが、その辺りは企業秘密なのかもしれません。
■極めて誠実
これも見極めが難しいですが、強いオーナーシップを求めていると解釈しました。会社の社長や役員ということだけではないと思いますが、やらされ族ではなく、圧倒的な当事者意識を持つ人材かどうかでしょうか。これは類推でもありますが、与えられる役職や報酬、仕事に対して誠実ということは、自分のためだけではなく、顧客や上司、同僚、部下など自分周辺の人たちのことも考えられることも含まれるのだと思います。年齢やポジションが上がる度に培っていかねばならないスキルだと思いますが、ここに気づくことなく残念な終盤を迎えないためにも身に着けたいところです。
■マインドセットを変える
長引くコロナ禍で厳しい経済、雇用状況にありますが、国内では4月より、70歳までの雇用延長が企業に努力義務として課せられます。大企業はコロナ前から先手を取り、希望退職募集というマイルドなリストラを進行させていましたが、この動きは加速するでしょう。大会社で管理職を経験した男性ほど「自分に合った仕事が見つからない」と嘆く傾向にあるという記事がありました。マインドセットを変えなければ、就労の機会を逃すことになるのではないかと定年後の“再就職”を懸念するものです。ジョブ型の人事制度に移行する企業が増えるなか、この局面でG社の求めるような、将来の問題解決ができる人材になれるかどうかが鍵になることでしょう。