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「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「圧倒的な当事者意識 > なかなか消せない被害者意識」

2016年9月1日

■いったい誰がやるのか
古今東西、政治にしろ、経営にしろ、仕事にしろ、何をやるかを決めることに焦点が集まりがちですが、その前提として必要なのは、いったい誰がやるのかということです。リクルートさんはとっくにそこに気づかれ、「起業家精神」、「圧倒的な当事者意識」、「個の可能性に期待し合う場」という企業文化を形成、定着させています。特に「圧倒的な当事者意識」は、日常化されており、「あなたは、どう考え、何をするべきだと思っているのか」と常に問いかけられます。そういう会話が社内のあらゆるところでなされ、蓄積され、組織に浸透し、相当な当事者意識を持つことが企業文化になっているのです。「他でもない自分がやるのだ」という意気込みを感じます。さすがは人材輩出企業です。

■なかなか消せない被害者意識
しかし実際には、「何にでもケチつけ」、「他人事」、「被害者意識」のような、当事者意識が弱い人が大多数かもしれません。会社の社長も同じでして、そんな社長たちの被害者意識に満ち満ちた典型的なセリフは、「景気が悪い」「政策が悪い」「社員が悪い」「業績が悪い」「円高(安)が悪い」「中小だから無理」等々です。自分の経営者としての自覚のなさが、自分の経営の下手さを人のせいにしてしまう原因だと推察されます。また、社員に残業代も払わず、チャッカリ自分の家や車だけは熱心な社長もいますが、遅くとも孫の代の頃には終焉を迎えることでしょう。存在が許されるのと、存続が許されるのとは意味が違います。被害者意識は経営者でも消すことが難しい曲者ということです。

■まずは自社の理解
一方、圧倒的な当事者意識を持つスーパーサラリーマンもいらっしゃいます。USJを奇跡的なV字回復を成功させた立役者、森岡毅さんは、「5C分析」というマーケティングの戦況分析における理解すべきこととして、1.Company(自社)、2.Consumer(消費者)、3.Customer(流通)、4.Competitor(競合他社)、5.Community(ビジネスをとりまく地域社会)をあげています。ここで着目すべきは、最上位に「まずは自社の理解」を置いているところです。他でもない自分がマーケターとしての腕を振るうには、会社の方針に反することは、水の流れに逆らうような不効率なことだと言い切ります。つまり、主従が普通と逆で、圧倒的すぎる当事者意識を感じます。やはりプロは一味違います。

■圧倒的な当事者意識の経営者の場合
もちろん、圧倒的な当事者意識を持つ社長さんもたくさんおられます。茂太さんの本で紹介されていた方の話です。『IT関連でベンチャービジネスを成功させた、ある若き経営者は、株式上場に際して日本の規制だらけの制度に非常に苦しんだ。「未公開のときは、間接金融に苦しみ、公開後は資金調達に苦しんだ」そうだ。それにもかかわらず、彼は「簡単に資金が集められる制度がない」ことを云々しない。なぜなら、「こういう難関を越える知恵と努力、持久力があって初めて事業はなしえる。都合のいい制度がなければ、資金を集められない者は、事業など成功できるわけがない」と考えるからだ』。こういう社長さんの会社は存在も存続も許されることでしょう。

■職責の自覚
松下幸之助さんも当事者意識の必要性とその意味を伝えられています。『お互いに欠点というものはたくさんあり、何もかも満点というわけにはいかない。だから、自分の足りないところは他の人に補ってもらわなければならないが、そのためには自分自身が自分の職責を強く自覚し、その職責に対して懸命に打ち込むという姿勢が大切である。仕事に熱心であれば、おのずから職責の自覚が高まるし、職責の自覚があれば、人はまた常に熱心である。そうした自覚、そうした熱意は多くの人の感応を呼び、協力も得られやすくなる。そういうことから、みずからの職責を自覚し、全身全霊を打ち込むという心がけだけは、お互いにおろそかにしたくないと思うのである。』

■経営のコツここなりと気づいた価値は百万両
国、地方、会社などの組織はもちろん、家庭や個人の”経営”においても、方向づけや計画の重要性が言われますが、その前提条件として、”経営”のスタンスが大事だと実感します。まず「誰がやるのか」を明確にしなければ、「何のためにやるのか」、「何をやるのか」も本当の意味では決まりません。すべての人が、自分の立ち位置、役割をしっかり自覚できれば、周囲にプラスの影響を与えることにつながります。すべてのスタートは、圧倒的な当事者意識を持つことです。これを心の底から持てるようになるには、被害者意識を消さないといけません。これがしつこいので、意外にも時間はかかりますが、まずは必要性を認識することです。このコツに”気づいた者勝ち”に他ならないということなのです。