社長とれんど考察

「情報分析力 > 熱意行動力」

■対面できない営業
「ショック」というのは、「大きな不連続」が起こることです。過去にはオイルショック、リーマンショックがあり、現在進行中のコロナショックもまさにそうです。感染症が原因ということから、今回の「大きな不連続」のキーワードはリモート、タッチレス、ステイホームなどです。テレワークには向かないとされていた営業職においても、移動も訪問も対面も自粛が求められ、リモート型の営業スタイルが一気に浸透しました。足で稼ぐ営業スタイルが身についているベテラン社員ほど、この急激な変化に対応できず、苦慮しているのは分かるような気がします。そこで今回は、その様式や文化を急激に変えつつある営業をテーマに検証したいと思います。

■顧客ニーズの変化
リモート型の営業の広がりは、顧客側も感染防止のためにテレワークしていることと、オフィスワークしていても来社を敬遠することもあり、営業現場も対応せざるを得ないのが現状です。それに応じて、パソコン画面や電話で商談することになったので、顧客のニーズも商品・サービスの詳細な情報が求められるようになり、営業の人柄の良さや熱意を売ることは難しくなりつつあります。顧客は商品・サービスの中身を吟味する時代に突入したと言われるゆえんです。この顧客ニーズの変化に対応するには、ホームページやSNSや動画をフル活用して商品・サービスを分かりやすく紹介することは必然になることは容易に予測できます。

■新しい営業スタイル
顧客・新規客による新しい営業スタイルの受け容れが進めば、当然に商品・サービスの購入を決める判断基軸も変化します。企業が求める営業職の定義も変わらざるを得ません。もちろん、訪問・対面がなくなるわけではなく、今後はメールやテレビ会議で済ませる段階と、直接会う段階を区別するような、メリハリのある営業スタイルが求められることになりそうです。そして、新しい営業スタイルは、リモート型の営業の活用による女性営業の活躍に加え、自社の商品・サービス力を再考できた企業が生き残ることになるかもしれません。GNP(義理人情プレゼント)と言われた保険会社の幹部は、「新型コロナは制度疲労した営業手法を改革するチャンスだ」ととらえています。

■働き方改革も進む
新しい営業スタイルでは、働き方改革が進むと期待されています。対面とGNPを基本とする従来の営業スタイルは長時間労働の温床でもありました。リモート型の営業スタイルにより、移動時間や訪問時間が大幅に減るとともに、業務後の宴席や休日の接待ゴルフなども併せて減ってきますので、デジタルをフルに活用して、顧客への提案に向けた情報収集に振り向けられ、顧客への提案を吟味するための時間を重視することに切り替えられれば、以前よりは効率的に働くことができます。残業削減が叫ばれながらも、どちらかといえば営業は蚊帳の外でした。新しい営業スタイルは、時間の使い方を変え、働き方そのものを変えるきっかけにもなりそうです。

■営業のデジタル化
真のデジタル化とは、「デジタル製品と関係ない会社がデジタル化することである」という趣旨の話を聞いたことがあります。営業と言えば、デジタル化とは一見結びつかないように思いますが、コロナ以前から大きく変化していました。小職も昔よく取り組んだ「飛び込み営業」は、セキュリティ面からも減ってましたし、ホームページやSNSなどを活用してリードを獲得する手法も今や当たり前になってます。このように既に起こっていた変化は、コロナで加速し、5G時代に入るとさらに加速していくと予想されます。営業がデジタル化するということは、様々なデータを使い、営業活動そのものが情報で武装するとともに、顧客への価値提供のあり方も変わることになります。

■提案型営業への転換
個人的には、顧客・新規客により良くなってもらうための提案をすることが営業の本旨だと思います。顧客が気づいていないことも提案することで、意に反してしまうこともありますが、顧客の言いなりになるのは本旨とは違うと思います。これから先、デジタル化が進めば、営業職との接点を持たずとも顧客は調達できる範囲が広がることでしょう。そうなれば、カタログ販売型の営業マンはビジネス版ネット販売に負けます。とにかく頑張りますみたいな従来型スタイルは通用せず、論理的にしっかり話す力が求められます。企業は、新型コロナを機に既存顧客との関係をより一層深めていくことを目指し、提案型営業への転換が必須になるものと思われます。

■情報分析力とは。
織田信長は、桶狭間合戦において、今川義元の首を取った毛利新助よりも、桶狭間に今川義元が居るとの情報を伝えた簗田政綱に一番の褒章を与えたと言われています。信長がいかに情報を大事にしていたかを示しています。さらに信長より二千年も前に『孫子』を残した孫武は、「彼を知り己れを知らば、百戦殆うからず」と情報の収集、分析の必要性を世に残しました。これらのエッセンスを営業活動に置き換えると、顧客のことを知り営業の現場を知ること、すぐれた提案をすること、そのためにデジタル化するのは必然です。どうやら、アフターコロナの営業とは、二千五百年前から伝えられていたことを現代流に応用することに他ならないといえそうです。