社長とれんど考察

「笑い > 怒り」

■今年もよろしくお願い申し上げます。
皆様、あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりありがとうございました。今年もよろしくお願い申し上げます。さて、今年の干支は、丙申(ひのえさる)です。安岡正篤先生の著書等を参考にさせていただくと、十干は樹木の成長に例えられ、「丙」は形が明らかになってくる頃を表しており、「明らか」とか「強い」という意味があります。十二支の「申」は「呻く(うめく)」の意味で、樹木の成長に例え、果実が成熟して行って、固まって行く状態を表しています。2016年は、成長している最中で、これまでの努力が形になっていく一年ととらえたいと思います。着実に成長を進めるには、乗り越えるべき課題もたくさんありそうです。

■怒りではなく、笑いを
昨年は戦後70年の年でした。様々な特集番組や記事を見聞しましたが、特に印象に残ったことがありました。それはNHKのラジオ番組で、確か特攻隊員の方だと思うのですが、出撃する前に、家族にあてて書いた手紙を朗読したものでした。そこで紹介された手紙のほとんどは、戦死された兵士のものでした。その中で、妻と子供に対し、今までの感謝の言葉とともに、「帰ることができたら、これからは怒りではなく、笑いのある家庭にしよう」と書かれたものに、死を覚悟するという極限の状態において家族、平和を願われたことに大変感銘を受けました。

■ストレス社会
翻って経済的に豊かな現代日本ですが、中高年を筆頭にうつ病などのメンタル障害の多発、それを起因とした自殺の増加など、笑いより怒りの方が増えていると感じる社会になりました。そして今日も街中や電車の中で、ごく普通の人がイライラして店や電車にケチをつけたり、喧嘩を売ったりしています。一般庶民でも財産を得られるようになった代償がこれでは悲しすぎます。そうまでして求めなければならないものとは何でしょうか。家かクルマかキャリアか、どれもこれも間違いなく百年以内には消え失せるものにもかかわらずです。

■原因は不自然
笑いとは真逆の怒りが増えているのは、自然に逆らっているからです。昨年話題になったものでは、東芝不正会計事件や杭打ち不足事件では、本来はやるべきことをやれたかどうかを検証する尺度に過ぎない数字を目的化するという不自然さが原因です。一方、ノーベル賞の大村先生や梶田先生は自然に沿った活動が世界レベルでトップに立ったということです。人に喜んでもらうことや人類の未来に役立つことを追求した結果がノーベル賞なのであり、ノーベル賞を取るために研究したわけではありません。残念ながら、このような当たり前のことが理解できない人が増えてしまいました。このような不自然なものは自然に戻さなければなりません。

■怒りの制御術
怒っている人々は職場にも増殖中ですが、企業においても、このままではいけないと怒りを制御する動きも出てきました。「アンガーマネジメント」は、70年代にアメリカで始まった、怒りの感情をマネジメントするための心理トレーニング法で、我が国でも有力な企業が導入を始めました。経営者や上司は、怒りにまかせた行動で部下の信頼を失わないため、従業員は、職場でイライラせずに効率的に仕事をするためにこういう目に見えない部分にも投資が必要になってきました。でもこれは、お釈迦様が2,500年以上も前から言われていた三毒の一つ「瞋」(しん=怒り(自己中心的な心で、怒ること、腹を立てること)のことです。未だに人間の本質は変わらないということです。

■心中常に喜神を含む
このように、怒りは良くないということは大昔から言われていたのです。『菜根譚』には、「幸福は自分から求めようとして、得られるものではない。喜神、すなわち、楽しみ喜ぶ心を養うことによって、幸福を招き寄せる根本の条件にするのみである。幸福は、喜神の結果であり、幸福を招く原理原則は、喜神を育て上げることである。」とあります。どんな状況に置かれたとしても、心の中に常に「喜神」を持つことが必要なのです。笑いとは、その「喜神」が顔に表れたものです。結局、「喜神」を養い、こころを豊かにする行動・言動・活動ができれば、結果として「幸せ」になるということです。今年は極力怒らず、笑いに笑って皆様とともに良い年にしたいと思います。